新規開業者の中でも多額の投資を必要とするベンチャー企業への投資を促進するため、個人投資家に対して税法上の優遇措置としてエンジェル制度が設けられています。
エンジェル制度とは、個人投資家がベンチャー企業に投資を行った場合、投資時点と株式の売却時点の両方で所得税法上優遇措置を受けることができる制度となっています。
具体的には、
・投資した年に受けられる所得税の優遇措置として、
以下の2つの優遇措置のうち、どちらかを選択して受けることができます。
- 優遇措置A
- ベンチャー企業への投資金額から2千円を控除した全額をその年の総所得金額から控除できます。限度額は、総所得金額×40%か1,000万円のいずれか低い方。
- 優遇措置B
- その年の他の株式譲渡益から、ベンチャー企業へ投資した金額の全額を控除できます。投資額の上限はありません。
・株式を売却し損失が発生した場合の所得税の優遇措置として、
その年の他の株式譲渡益と相殺でき、相殺しきれなかった損失については、翌年以降3年にわたって株式譲渡益と相殺することができます。
エンジェル制度の対象となるには、要件が少し複雑です。
減税対象の企業となるには、
優遇措置Aの場合は、創業3年未満の中小企業であることの他にいくつか要件があります。
優遇措置Bの場合は、創業10年未満の中小企業であることの他にいくつか要件があります。
また、投資する側は、金銭の払込みにより対象となる株式を取得していること(他人から譲渡された株式や現物出資により取得した株式は対象とはなりません。)等の要件があります。