先日、ブラック企業大賞2015の授賞式が開催され、ブラック企業の一つとして、株式会社エービーシー・マートが選ばれました。
その理由としては、違法長時間労働の疑いで書類送検された点が挙げられていました。ブラック企業の対策として厚労省が、社員に違法な長時間労働を強いているエービーシー・マートに対して複数の店舗で指導を行ったものの、改善が見られなかったというものです。
このように悪質な労働環境を強いる会社が、近年明るみに出るようになってきました。
労働基準法によると、原則として法定労働時間である1日8時間、1週間で40時間を超えた労働は禁止されています。法定労働時間を超えて労働をさせると、労働基準法違反となり、6か月以下の懲役、または30万円以下の罰金に処せられます。
しかし、法定労働時間内に仕事を終わらせることはなかなか難しいですよね。そのため、例外として法定時間外の労働も一定の条件を付けて認められています。
それが労働基準法第36条の「時間外及び休日の労働」にて規定されており、「36(さぶろく)協定」と呼ばれています。
その内容としては、1日8時間、1週間で40時間を超えて労働させる場合や、休日にも労働をさせる場合には、あらかじめ労働組合と使用者の間で書面による協定を締結することが必要であると規定されています。
書面とは、「時間外労働・休日労働に関する協定書」であり、事業の種類や名称、所在地の他、時間外労働・休日労働をさせる理由や労働者数、期間などを記入し、労働者代表と使用者の署名が必要となります。そして労働基準監督署に届け出ることになっています。
36協定の有効期間は、1年間とされています。そのため、1年ごとに36協定を結びなおさなければなりません。
この協定の範囲内の労働時間であれば、罰則は免れますが、いわゆるサービス残業などのような時間外労働手当が支払われないことがあってはいけません。ブラック企業の場合は、36協定を結んでいない、もしくは結んでいても守られていないということになります。
次回は36協定を結ぶ際に気を付けるべき点について、お話したいと思います。