前回、36協定の大まかな説明をいたしましたが、今回はその際に気を付ける点についてお話したいと思います。
まずは、労働者がたった1人であっても法定労働時間外の労働をさせる場合や、法定休日労働をさせる場合は、届け出が必要である点です。
次は、法定労働時間外の労働をさせる時間にも限度があるという点です。一般的に、1ヶ月の場合は45時間、1年の場合は360時間とされています。時間の上限についてはさらに特別措置があり、限度時間に収まらない場合も考えられることから36協定の際に「特別条項」を付けて届出を行うと例外的に認められます。
この特別措置は、臨時的なもので、特別の事情がある場合にのみ限られ、期間も6ヶ月以下であることが決められています。
臨時的なものの具体例として、システムのトラブルや大規模なクレームなどの対応などが挙げられます。特別な事由のない繁忙期では認められませんが、クリスマス商戦などの特別な事由がある繁忙期であれば認められるとされています。
さらに、限度時間を超えて労働させる特別な事情を具体的に定めることや、法定割増賃金率を超える率を賃金として支払えるよう努めることなどが要件として定められています。
他にも、業種によって法定時間外労働の時間の上限が設けられていないところもあります。
例えば、土木業や建築業などの工作物の建設等の事業やトラック運転手やタクシー運転手などの自動車の運転業務、新技術や新商品などの研究開発業務などが挙げられます。
これらの業種はであっても、36協定の締結や届け出は必要となっています。法定時間外労働の1ヶ月の上限である45時間までの数字を記入せず、話し合いによって決まった時間を記入することとなります。
話し合いで合意した時間であったとしても、月100時間を超えるような時間外労働がある場合には、使用者は労働者に医師の面談を受けさせることが義務付けられています。