こんにちは。鹿児島で経理の代行を行っています、鹿児島経理代行センターのブログです。
会計を行う場合、日々の取引を帳簿に記録します。そして、期末になると決算書(貸借対照表、損益計算書など)を作成するために、項目ごとに1年間の取引を集計します。
しかし決算書を作るには、単に帳簿を集計するだけでは足りません。
決算書を作るには、「決算整理」という決算時に特有の処理が必要になります。
「決算整理」とは、簡単にいうと年をまたぐお金を当年分の経費と翌年以降の分に分ける作業です。
例えば、納品を完了したけど入金予定が翌年になっている売上を、当年分の売上として処理したり、1月支払い予定の12月分電気料金を当年分の経費として計上したりといったことを行います。
1.今年売れた金額と使った費用を整理する
申告では、発生主義を基本として課税が行われます。発生主義とは、現金の受け渡しではなく、取引の発生を基準に売上や経費を考えることです。つまり、12月に受けたサービスであれば、支払いが翌年の1月でも当年分の経費にできますし、逆に、12月の売上で支払いが翌年であっても、当年分の売上として申告しなくてはいけません。
- ①売上
- 12月31日までの分すべてを売上として計上します。入金されているか否かは関係ありません。
- ②仕入
- 12月31日までに納品されているものすべてを経費にします。支払いが来年であっても、当年分の経費とします。
- ③前受金・手付金
前受金や手付金に関しては、商品やサービスの提供が終わってないので、翌年以降提供が終わった段階で
売上の一部として計上します。
- ④前渡金
- 前渡金についても、商品を受け取ったり、サービスの提供をまだ受けてないのであれば当年分の経費にはしません。
- ⑤前払金
前払金については翌年以降の分は、当年分の経費にはしません。例えば、家賃を前払いしている」場合は、
1月以降の分はけ経費にしません。また、保険などを1年分前払している場合には、月単位で計算し、
1月以降の分は今年の経費にしません。
- ⑥未払金
12月分の公共料金など、まだ支払っていないが、既に商品やサービスの提供を受けたというようなものは、
当年分の経費とします。
2.経費と売上を対応させる
当年分の売上に対応する出費だけを経費とするという原則があります。この原則を気を付ける必要があるのは、
仕入と高額な備品です。
①仕入れても売れなかったら来年以降の経費に
仕入は、当年の売上につながった分のみが経費となります。例えば、100万円分の在庫を仕入れたが半分しか
売れなかった。このようなケースでは、今期は100万円お金が出て行ってますが、売れ残った半分の50万円分は
売上に貢献してませんので、軽費となりません。翌年以降売れた段階で経費とします。このように在庫の状況を
把握するために、棚卸の作業が必要となります。
②高額な備品は一部のみが経費
不動産、車など高額なものは、数年に渡って事業に用います。そこで、こうしたものを数年間に分けて、
軽費にしていくというのが減価償却です。
- また、こうしたものの事業に用いる期間(耐用年数)は、自分で決めてよいのではなく、税務署が決めています。
※減価償却のやり方
減価償却には、定額法と定率法があります。
定額法…毎年均等に経費にしていく方法
定率法…毎年一定割合を経費にしていく方法
例えば、100万円のものを5年かけて減価償却するケースを考えてみると
定額法…20万円ずつ毎年経費にしていきます。
定率法…30%を毎年経費にすると考えた場合、最初の年は30万円を経費に、次の年は21万円を経費に、3年目は約15万円を経費にとなっていきます。
3.貸倒金・貸倒引当金を処理する
青色申告では、売掛金等のお金が返ってこなくなるリスクに備えて、毎年決めた額を経費にできます。
- ①貸倒金
売掛金など相手に貸しているお金が回収できなくなった場合、貸倒金として経費にすることができます。
お金が回収できなくなったとする基準が定められており、国税庁HPに載っています。それを満たさないと
貸倒金にはできません。
この基準に当てはまる売掛金がある場合は、決算の時に貸倒金にしてしまいましょう。
- ②貸倒引当金
貸倒引当金は、貸し倒れるリスクに備えて積み上げておくお金のことです。この貸倒引当金として積むお金も
経費にできます。貸倒引当金の額を決めるには、2つの計算方法があります。
一括評価…この方法が一般的。12月末時点での賃金等の帳簿評価額の5.5%を貸倒引当金とします。
個別評価…貸し倒れる可能性が高い債権を個別に評価し、貸倒引当金を計上する方法です。
これにも細かく要件が決まっています。
決算整理は、日々の取引に直接関係しないため、やり方がわからない方も多いのではないでしょうか。
しかし、資産や負債の実態を正確に把握し、1年間の業績を正しく反映する決算書を作成するためには必要不可欠な大切な処理です。
決算整理を正しく行えるようにしましょう。
たとえば、自営業を始めたばかりの方で、営業時間が終わった後に「その日のうちに帳簿を付けなければ」と社長自ら2時間ほど費やして帳簿を付け、翌日まで疲れが残っているような人がいます。
これは自分の人件費のコストを把握していない、明らかに間違ったやり方です。
社長の時給は、最低でも3,000円と考えられますから、これ以下の生産性しかない作業は、時給が低い部下に任せるか、外注に出すべきです。
社長が時給1,000円の人でもできる単純作業に従事してしまうと、1時間あたり2,000円の損失が発生していると考えなければならないのです。
社長というのは「何でも自分でやろう」としてはいけません。
仕事のひとつひとつを「自分でなければできない仕事」「自分以外の人でもできる仕事」に分けて、自分でなければできない仕事以外のものは、すべて部下や外注、専門家に任せるようにしましょう。
本来の「社長業」というのは「他人に仕事を任せる」ことであり、それが結果「他人を活かす」ことになります。会社が大きくなるほど、様々な人材が集まってきます。
そうなった時に、社長自身がいつまでもプレイングマネージャーをやっていてはいけません。例えば、部下が仕事をもらえなかった営業先に、社長自らがプレゼンして仕事をとってくるのではなく、部下が社長と同じ力を発揮できるようその指導や教育に全力投球すべきなのです。部下に自発的に「社長のようになりたい」「社長に協力したい」と思わせた方が、会社の発展に役立ちます。
また、経営にとって一番大切なのはお金です。お金があれば、たとえ赤字でも会社は倒産しませんし、逆に、売上が上がり黒字になっても、お金がなければ倒産します。会社とはそういうものです。
従って、社長は「お金の流れ」を把握しなければいけません。
まずは、会計の基本的なことを知り、慣れ親しんだうえで「会社に入ってくるお金」「会社から出ていくお金」の両方の流れを大まかにつかめるようになりましょう。
そして、得たお金の効果的な使途を考えなくてはなりません。お金は得るよりも、使い方の方が大切で難しいのです。
例えば、会社が儲かってきて、売上1億円、社員10名ほどの会社に成長してきたとします。経理作業が繁雑になってきて「簿記の資格を持つ経理担当者を雇おう」ということになるかもしれません。
これは、よく中小企業の経営者が陥ってしまうミスの一つです。経理担当者を雇ってしまうとそれは「固定費」になってしまうのです。
固定費とは、売上が増加しても、減少しても、必ずかかる固定的な経費のことを言います。反対に、仕入れのための原材料費や製品の加工賃などは、売上の増減とともに変化するため「変動費」といいます。
現代での経営学では、固定費はできるだけ減らしておくのが常識です。
設立後間もない、規模の小さい会社が、ひとりの正社員を雇い月20万円ほどの固定費を抱えてしまうのは、大きなリスクだと言えます。
ちなみに、税理士事務所に「領収書、請求書の記帳をすべて丸投げ」して完全外注化するとしても、会社の規模によりますが月5~10万円程度で済みます。経理担当者を雇うのと、金額的には同程度かそれ以下ですみます。
このようにおすすめすると、「今の顧問税理士には月3万円も支払っている。この上、月10万円を支払う気にはなれない」と言う社長もいらっしゃると思います。
ですが、見た目の金額は同じ月13万円であっても、経理担当者を雇った場合は、給料とは別に健康保険や年金の支払などもありますから、実質的にはもっと高くなります。
また、小さな会社の経理であれば、3年もすればおおよその仕事内容は覚えてしまい、その後仕事の内容が変わらないでしょう。それなのに、この社員に対して、ある程度の年功序列給が発生しますから、この社員が10年間在籍したとすると、月給25万円になってくることもあります。不用意に人を雇うと、このように固定費が増えていってしまうのです。
一つの基準としては、会社の粗利益1億円以下、社員数30人以下であれば、経理部門はもたず、完全外注化した方が、コスト的には有利だと思われます。
外注化は、経理だけに限った話ではありません。
社長一人で創業した場合、無意識に寂しさを感じていることもあり、「配達のトラックが1台必要になったからドライバーを」「訪問客が多いから、受付の女性を」「商品パッケージのデザインのため、デザイナーを」というように、社員を増やしたいと思うことが多々あると思います。
ですが、そんな時ほど「固定費が増える」と自分に言い聞かせ、正社員でなく外注、外注で無理なら派遣かアルバイト、それでもダメなら正社員、ぐらいの感覚でよく考えてからにしましょう。
会社がスリム化していれば、売上が減った時にも倒産しません。中小企業は、一般的に人材不足に悩まされますが、発送を転換して、外注化で手っ取り早く、専門的で高い品質の仕事をこなしてもらうことも考えてみましょう。本業に必要な人材はしっかりと雇い、外注も使いながら仕事をうまく任せられるようにしたいものです。
こんにちは。鹿児島経理代行センターのブログです。
就業規則とは、会社で就労する従業員に向けて社内における規則を明示化したものです。
労働時間や休日・休暇、支払われる賃金額、入退社の手続きなど、従業員が会社へ入社し、退社するまでの間に必要とされる取り決めの内容が記されています。
就業規則は、従業員が会社内で守らなければならない規則が記載されていることから「会社のルールブック」とも呼ばれています。
1.法令・労働協約および労働契約との関係
法令、労働協約、就業規則、労働契約の効力関係を表すと
法令 > 労働協約 > 就業規則 > 労働契約 となります。
就業規則は、法令や労働協約に反してはいけません。
たとえば労働基準法では、賃金は毎月1回以上支払わなければならないと定められていますが、就業規則で2カ月ごとの支払い、と定めることは認められません。
一方、就業規則の基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となります。無効となった部分は、就業規則で定める基準によることになります。
逆に、就業規則の基準を上回る労働条件を定めた労働契約は有効となります。
2.就業規則の法的効力には「合理性+周知」が必要
労働条件は事業主と従業員が対等の立場において決定すべきものですが、事業主が一方的に決定する就業規則は、合理的な労働条件を定めているものである限り、その法的規範性が認められます。
また、就業規則が法的な拘束力を発揮するには、その内容を従業員に周知させる手続きがとられていることを要します。(フジ興産事件 最二小判 平15.10.10)。
この周知については、従業員が知ろうと思えば知り得る状況で良く、従業員が実際にその内容を知っているかどうかは問われません。すなわち、就業規則は「合理性+周知」を備えれば法的な効力を発揮し、事業主が一方的に労働条件を定める特例が認められるといえます。
3.就業規則に変更には労使の合意が必要
就業規則の変更については労働条件の変更になるため、原則として、事業主と従業員が合意をした上で行わなければなりません。
また、変更した場合についても、労働基準法に定められた手続きをとらなくてはなりません。具体的には、変更した就業規則について従業員等に意見聴取を行い、その就業規則を労働基準監督署長に届け出て、周知を行う必要があります。
あなたの会社を税務調査するのはどこの税務機関でしょうか?税務署や査察や国税庁という言葉を思い浮かべると思いますが、会社の規模などによりそれぞれ違ってきます。
1基本は本店所在地の所轄税務署
基本的には本店所在地の登記がしてある場所の所轄税務署です。鹿児島市なら鹿児島税務署、姶良市なら加治木税務署、枕崎市なら知覧税務署といった具合です。
毎年法人税の申告書を提出する税務署ですね。
税務調査も所轄税務署から連絡がきて、日程を調整し法人課税○部門の税務調査官が税務調査を行います。通常2~3日です。最近では1人で来られるケースが多いです。
2特別国税調査官
『基本的に所轄税務署』と書きましたが、売上金額が多いあるいは相当な利益が出ているなどの場合は所轄税務署の法人課税部門に代わって、特別国税調査官(通称「特官」)が出てくることがあります。
特官は熊本国税局管内(熊本県、鹿児島県、宮崎県、大分県)の各県庁所在地の所轄税務署に席を置く特別な税務調査官です。鹿児島ですと鹿児島税務署にしかいません。
ですから所轄税務署が鹿屋税務署だったとしても鹿児島税務署から特官が来ることがあります。
前回の税務調査は所轄税務署の法人課税の税務調査官だったのに、今回は特官ということがたまにあります。やはり極端に利益が出ていたときなどです。
複数人で登場し税務調査期間も1週間ほど調査するのが通例ですので、立ち会う税理士も非常に緊張いたします。
3国税局
資本金が1億円以上の法人は原則的に国税局が税務調査いたします。税法上資本金1億円というのは大法人あつかいですので管轄も国税局ということになります。鹿児島ですと熊本国税局になります。
国税局の税務調査となると正直しんどいです。期間も長く指摘も厳しいです。伝家の宝刀「更正処分(行政処分として一方的に修正課税してくる)」も容易にしてきます。
ただこれも原則であって、資本金は1億円以上だったとしても会社の規模が小さい場合などはやはり所轄税務署の法人課税の税務調査官が税務調査を行うこともあるようです。
国税局が管轄するのに所轄税務署が税務調査いたしますので「税務署所轄法人の指定通知書」という文書通知がきます。
4査察部
映画「マルサの女」のモデルになった国税庁査察部です。ドラマでよく扱われます。
明らかな巨額脱税の証拠を掴んでいる場合で刑事告発できるような案件の場合、国税局査察部が登場します。所轄税務署など出る幕ではありません。税務調査というより裁判所で捜査令状とっての強制捜査になります。早朝突然踏み込んできます。
件数的には全国で年間200件程度だそうです。
きしゃば会計事務所ではまだ直面したことはないですし、これからも直面はしたくないものです(笑)
こんにちわ、鹿児島経理代行センターのブログです。
平成28年10月以降、社会保険の加入要件が変更され、パートやアルバイトで働いている人も一定の要件を満たせば加入できるようになりました。
パートやアルバイトの人でも、所定労働時間及び所定労働日数が正社員の3/4以上の場合、社会保険加入の対象となっていました。
平成28年10月からは、以下の要件を満たすと社会保険の加入が義務付けられました。
・所定労働時間が週20時間以上
・月額賃金が8万8千円以上
・勤務期間が1年以上になる見込み
・従業員規模が501人以上の企業
・学生以外
また、平成29年4月からは、従業員が500人以下の企業でも、労使で合意があれば社会保険に加入できるようになりました。
ここで気をつけてほしい点は、要件を満たすと強制的に加入することになるということです。
従業員や企業が社会保険に加入するかどうかを決定することはできません。
最近、将来もらえるかどうか分らないなどの理由で社会保険に入りたくないと考える人が増えていますが、要件を満たすすべての人に加入が義務付けられます。
社会保険に加入したくない場合には、加入要件を下回る勤務時間にするなど働き方を変えなければなりません。
パートの場合、扶養の範囲内で働くべきか、自分で社会保険に入った方がいいのか悩むと思います。
手取り額が減ることや扶養から抜けることが嫌な人は働き方を調整する必要があります。
通勤手当は、電車やバス、自動車などの交通手段を使って通勤している人に支給するものです。通勤手当の内容については会社がその規則を決めることができます。
就業規則として、通勤手当の支払方法や限度額、対象者を定めます。
一般的にバスや電車の場合と、バイクや自動車の場合で通勤手当の計算方法は異なります。
例えば、バスや電車通勤の場合は、運賃や距離、時間などから最短の経路で計算します。定期代の方が安い場合は、定期代を通勤手当として支給する方法もあります。
バイクや自動車通勤の場合は、距離やガソリン代、燃費から実費を計算して支給する方法があります。
ちなみに自転車通勤の場合、通勤手当を支給している会社は現状多くはありません。
タイヤ等の部品の消耗品に対してや、雨の場合の交通費の支給をするかどうかも通勤手当の規則を作る際に、考えてみてもいいかもしれません。
通勤手当は事前に従業員に申請してもらい支給額を決定します。引っ越し等により通勤手段が変更になった場合には、再度申請してもらい、通勤手当の支給額の変更をする必要があります。
税金面でも気を付けなければならないことがあります。
通勤手当は原則非課税ですが、非課税限度額があります。限度額を超えて支給した部分については所得税がかかるほか、社会保険料や源泉徴収の対象になります。
バスや電車、鹿児島の市電などの交通機関を利用している人には、1か月あたりの合理的な運賃等の額とし、最高限度額を15万円としています。新幹線通勤も認められていますが、グリーン車の代金は含まれません。
自動車などで通勤している人には、距離によって限度額が定められています。
例えば、通勤距離が片道2㎞以上10㎞未満の場合は4,200円、片道10㎞以上15㎞未満の場合は7,100円となっています。
詳しくは国税庁HPをご覧ください。
こんにちわ、鹿児島市の鹿児島経理代行センターのブログです。
正社員に通勤手当を支給しているところは多いと思いますが、パートに対しても通勤手当を支給していますか?
パートとして働いていても、正社員と同じ職務内容だった場合、通勤手当が支給されるかどうかはパートで働く人が気にする点だと思います。
実際、正社員には通勤手当を支給していても、パートやアルバイトには支給していないところも多くあります。
なぜなら、企業は通勤手当を支給しなければならないという義務はないからです。
労働基準法などの法律で義務付けられているものではなく、企業が支給するかどうか決めることができます。
そのため、交通費を全額支給しているところもあれば、一定額以上は自己負担にするなど、企業によって通勤手当の内容は異なります。
パートタイム労働法第9条によると、職務の内容や契約期間等が正社員と同じパートについては、正社員と差別してはいけないとあります。
正社員と同じ形態で働くパートについては、通勤手当も正社員と同じにしなければならないと決められていますが、それ以外のパートについては通勤手当の義務はありません。
しかし、平成28年度の「パートタイム労働者総合実態調査」によると、正社員とパートの両方を雇用している事業所のうち76.4%がパートに通勤手当を支給していることが分かりました。
平成23年に実施された調査では、65.1%であったことからパートへの通勤手当の支給が増加してきています。
扶養の範囲内で働く人が多いパートでは、通勤手当が支給されないとなるとせっかく働いて得た収入も交通費の額によってはかなりのお金が消えてしまいます。
雇う側として、人手不足の今日、パートとして働きたいと思う人たちに来てもらうためにも通勤手当を支給するかどうかは考慮する必要性があると考えられます。
Q中途採用の社員が、何度も遅刻を繰り返しています。
そのたびにノーワーク・ノーペイの原則(働いてない分は賃金も払いません)で賃金控除はしていたのですが、何度口頭で注意しても遅刻を繰り返すので、減給の制裁に踏み切ろうと考えました。
遅刻はだいたい10分から30分ぐらいです。
このような場合、会社側は何に注意すべきでしょうか
A減給については、労働基準法で1回の額が平均賃金の1日分の半分以内、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1以内に制限されています。
これらの制限を超えて減給した場合は、企業側は30万円以下の罰金に処せられます。当然、就業規則や労働協約で違法な減給を規定してあっても、違法な箇所は無効になります。
社員の遅刻や早退に対しては、一般的にはこの会社のように、ノーワーク・ノーペイの原則に従い賃金控除が行われています。
この賃金控除は、あくまで実際に遅刻・早退した時間に相当する賃金分だけです。
5分の遅刻を30分の遅刻として賃金カットするなどした場合は、その差25分のカットは減給の制裁ということになり、先に述べたような金額の制限が課されます。
月々の賃金からの減給はこのようになっており制裁的な減給は不可能ですが、そのかわり賞与からの減給についてはどうでしょうか。
制裁として賞与から減額することが明らかな場合は、先の減給と同じ制限となります。
ただし、勤務評価として賞与の額に反映することは減給の制裁には該当せず、労働基準法の規制を受けないものと考えられます。
つまり、遅刻のペナルティーは基本的には今行っている賃金控除で処理しておいて、勤務評価の結果として賞与に反映ができるように、賞与の査定項目に含めるというのが妥当だと思われます。
鹿児島経理代行センターのブログでした。
労働基準法16条では、「使用者は、労働契約の不履行についての違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならない」としています。
つまり、違約金や損額賠償の額をあらかじめ決定して置くことは、法律により禁じられているのです。
しかし、損害賠償額が予定されていたものではなく、実際に労働者が業務上横領など会社に与えてしまった損害については、会社は労働者に対して損害賠償請求をすることができます。
ところが、この損害賠償額を一方的に賃金と相殺して回収することは、「賃金の全額払いの原則」の抵触することになり、認められません。
つまり、いったん賃金を支払い労働者に弁済を求めるという形をとらなければならないということです。これは、月例給与のみならず、賞与や退職金についても同じことがいえます。
中小企業退職共済などにしても、例え業務上横領で懲戒解雇したとしても会社は解雇者の退職金からの賠償金の相殺ができません。損害賠償請求して別段で返済してもらう形となります。
ただし、裁判例においては、賃金の全額払いの原則は「使用者が労働者に対して有する債権を持って労働者の賃金債権と相殺することを禁止する趣旨である」としながらも、「合理的な理由が客観的に存在するときは、右同意を得てして相殺は右規定に違反するものとはいえないものと解するのが相当である」として、合理的な理由が客観的に存在することを前提に合意による相殺を認めています。
したがって、原則的には損害賠償額と賃金を相殺することはできませんが、労働者の合意を得ることができれば相殺できるということになります。
全額払いの原則に違反した場合に、使用者は労働基準法120条1号により、30万円以下の刑罰を科される場合もあるため、労働者の合意がとても重要なものとなります。
労働者の権利が守まれすぎな気がしますが…
「フレックスタイム制」とは、まず清算期間中の総労働時間を決めて、1日始業および終業の時刻は、労働者の自主的な決定にゆだねるという制度です。平成初期に浸透しはじめた制度です。
東京などの通勤ラッシュの緩和対策で始まった制度で鹿児島辺りではあまり浸透していませんよね。
一般的には、会議や打ち合わせの必要性から必ず労働しなければならない時間帯である「コアタイム」を設けているケースが多く見受けられます。
本来9時~18時を就業時間と定めている会社が、10時~16時をコアタイムと定め、この時間は必ず就労させ、9~10時、16~18時はフレックスタイム制で遅く出社、早く退社してもいいですという制度です。
フレックスタイム制に必要な手続き
フレックスタイム制の採用に当たっては、労働基準法上、次のような手続きが必要となります。
- 就業規則などにおいて、始業および終業時刻の決定を労働者本人に委ねる旨を明記すること
- 過半数労働者の組織する労働組合(これがない場合は過半数代表者)との書面協定により、一定事項を定めておくこと
- 対象となる労働者の範囲
- 1ヶ月以内の清算期間
- 清算期間を平均して1週間の労働時間が法定労働時間の範囲内となるように定めた清算期間の総労働時間数
- その他厚生労働省令で定める事項
(標準となる1日の労働時間・コアタイム等)
なお、フレックスタイム制にかかる労使協定は、特に労働基準監督署への届け出義務はありません。
フレックスタイム制の時間外労働について
フレックスタイム制を採用した場合に「時間外労働」となる時間は、清算期間の総労働時間が法定労働時間の総枠を超える時間です。また、働いた時間が清算期間の法定労働時間の総枠の満たないような場合は、その不足時間については翌月の所定労働時間にプラスすることができ、とても柔軟な労働時間管理が可能となります。
逆に超過してしまった時間も翌月で調整することは労基法24条違反とされ、超過分は割増賃金としてその月でしっかり処理しなければなりません。